「労使関係からみる戦後という時代」(日本評論社)

仁田道夫先生(東京大学名誉教授)から、600頁を超える大著をご恵贈いただきました。

終戦後、労働組合運動が燎原の火のように広がっていった時代から、企業別労働組合・終身雇用・年功序列(三種の神器)をベースにした「日本的労使関係」(「OECD対日労働調査報告」、1972年-73年)の形成にいたる労使関係史。本書の醍醐味は、政治・経済・社会情勢と紐づけながら労使関係の展開を描く第一部(著者によれば「史記」・「本紀」の倣い)と、労働運動家、経営者、行政官等々が、それぞれの立場から日本的労使関係の形成に関わったこと(いわば「史記」の「列伝」)が分かちがたく結びついていると示唆していることです。いずれか一つだけの類書はあるとしても、双方が関係しあいながら歴史が動いていったことを伝える著作を本書以外には知りません。ちなみに本書の奥付の日は8月15日、終戦の日です。現代日本の労使関係史はこの日から始まるという著者の史観の表れか、と勝手に思った次第。