年次有給休暇中の賃金、最低賃金を下回ることは違法?

「年次有給休暇取得時の賃金が最低賃金を下回ることは最低賃金法違反」ではないかというお尋ねがあり、「法違反ではありません」とお答えしたのですが、インターネットには「「年休中の賃金は最低賃金を下回ることできない」という情報があるとのことでした。検索したところ次のような情報が得られました。

【某サーチエンジンの「AI による概要」】2025/12/21 pm.11
年次有給休暇中の賃金が…最低賃金を下回る場合は、その金額を下回って支払うことは違法です。特に平均賃金方式(暦日数割や労働日数割×60%)では最低賃金を下回る可能性があり、その際は最低賃金以上の金額を支払う義務があり、パート・アルバイトでも雇用形態に関わらず最低賃金は守られます。

【結論からいうと】上の「AI による概要」は誤りです。
年次有給休暇取得時の賃金が、平均賃金や健康保険の標準報酬月額によっている場合、最低賃金を下回ることはありえますが、そのような方式での年休中の賃金支払いは、最低賃金法違反ではありません。その根拠は、最低賃金法の第4条4項です。

(最低賃金法第4条第4項)
 第1項及び第2項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかつた場合において、労働しなかつた時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない

行政解釈は、「労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合」の一つに、「年次有給休暇により休業した場合」を上げています(「改定4版 最低賃金法の詳解」22頁)。
繰り返しになりますが、「年次有給休暇中の賃金が…最低賃金を下回る場合は、違法です」は誤り、「年次有給休暇取得時の賃金が最低賃金を下回ることは違法ではない」が当事務所の見解になります。