派遣労働者の同一労働同一賃金、25年度の比較対象賃金

厚生労働省は、派遣労働者の同一労働同一賃金について、労使協定方式による場合に比較対象とする一般労働者の平均的賃金額(適用期間、2025年4月から2026年3月)を公表しています。
労使協定方式によることの理由
派遣労働者の同一労働同一賃金のあり方は、基本的には、派遣先の労働者との均等(=差別的な取扱いをしないこと)、均衡(=不合理な待遇差を禁止すること)が求められます。しかし、この方式によると、次のような問題が起こることがあります。
〇派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり、派遣労働者の所得が不安定になる
〇賃金水準には企業規模による格差(大企業であるほど高く、小規模の企業であるほど低い傾向)があるため、結果として、派遣先労働者のもつ能力と不整合な待遇となり、キャリアアップを妨げることになる
こうしたことを踏まえ、派遣先均等・均衡方式(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る方式)ではなく、労使協定方式(派遣元において締結した労使協定により待遇を決定する方式)を選択できるようになっています。
労使協定方式による場合の賃金水準
労使協定方式による場合、派遣労働者の賃金は、「派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金(「一般賃金」)」と同等以上の賃金の額とする必要があるとされています。
「一般賃金」は、賃金構造基本統計調査の職種別平均賃金または職業安定業務統計の求人賃金に基づく基本給・賞与・手当等(いずれも時給換算額)によって、次のとおり示されています。
「基準値(0年)」、「基準値に能力経験調整指数を乗じた額」
表の「基準値(0年)」、勤続年数の指数(1年116.0~20年179.3)と地域指数(東京112.7~青森84.9)を乗じて求めます。例えば、賃金構造基本統計調査の「介護職員(医療・福祉施設等)」による場合は、勤続0年の1,141円に基づく勤続1年~20年の額(1,324円~ 2,046円)に、地域指数を乗じた額以上となります。
「一般賃金の取り扱い」、「協定対象派遣労働者の賃金の取り扱い」「労使協定の締結における留意点」等の詳細については、下記の通達の5頁から13頁に記載されています。

◇通達「職発0827第1号 令和6年8月27日」

・賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)


職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)