新型コロナ感染症と労災補償
人命と社会・経済の危機が現実になっている、かつて経験したことのない事態を目にしています。そんな中で、事業主の方のご苦労は限りないと思います。以下は、あまり注目されていないようなところですが、念のため。
Q:労働者が新型コロナウイルス感染症を発症した場合、労災保険給付の対象となりますか。
A:業務又は通勤に起因して発症したものであると認められる場合には、労災保険給付の対象となります。
例えば、医療機関などのように感染リスクが相対的には高いと思われる勤務先の場合、労働者が感染したときの休業補償等はどうなるのかについては、上のとおりです。労災は個々の事案ごとの認定なので一般論としてですが、休業(補償)給付の対象になるということです。治療費は、感染症法により国の負担になるので療養(補償)給付の問題はありえないのでしょう。
さらにいうと、自社の従業員が業務委託先の感染源になったと疑われたらどうするのかということです。民事賠償責任を問われないためにできることは、使用者としての感染防止対策を徹底しているというしかないのではと思います。例えば、厚労省が示している「安全衛生委員会/衛生委員会」のためのチェックリストに沿った安全衛生管理をしているのかは、使用者責任を果たしているといえるための根拠になるのかもしれません。また、これは商取引関係以前に、使用者として励行しなくてはならないことだろうと思います。
(チェックリスト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html