新型コロナ感染症対策–雇用調整助成金の特例の一層の拡大

 新型コロナウイルス感染症が観光業や飲食店業などに深刻な影響をあたえていることが繰り返し報道されていますが、雇用調整助成金 (経済上の理由で事業活動の縮小した事業主が休業手当を支給して雇用維持を図った場合に休業手当の費用を助成する制度)の紹介が少ないように感じます。
 3月28日、厚労省は、助成金の特例措置のさらなる拡大を公表しました。3月上旬の特例よりも助成要件や助成率が緩和されています。 リーマンショック時を上回る相当大幅な条件緩和です。
 3月末のテレビで、関西の観光バス会社では11台のバスのうち3台を売却して給与支払いに充てている例が報道されていましたが、コメントされたのは経産省のセーフティーネット保証。しかし、返済が必要な「融資」ではなく、原則として返済義務のない「助成金」を活用するのがよい場合もあるように思います。以下では、雇用調整助成金の3/28特例措置について特徴的な点を中心にご紹介します。  
① 対象となる事業主
   新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)が対象となるのは、これまでの特例措置と同じです。
② 対象となる労働者
  これまでは「雇用保険被保険者」が対象でしたが、 労働時間が週20時間未満などの被保険者ではない労働者の休業も対象となります。
③ 生産性指標要件
   これまでは「1か月で10%以下」低下だっのが、「1か月で5%以下」に緩和されました。
④ 助成率
  これまでは「中小2/3、大企業1/2」だったのが、「中小4/5、大企業2/3」に、解雇等を行わない場合は「中小9/10、大企業3/4」になります。
⑤ 休業等計画の事後提出
  これまで「1月24日~5月31日」までだったのが、「6月31日」まで延長されます。
⑥ 支給限度日数
  支給限度日数(1年100日、3年150日)から過去分の支給日数を差し引かないことに加えて、「緊急対応期間(4月1日~6月30日)」の休業日数分が上積みされます。
この他、すでに実施済みの特例である「事業設置後1年未満の事業主も対象」「1年のクーリング期間の撤廃」「被保険者期間6か月以上の要件の撤廃」は維持されています。厚労省が公表した特例措置の概要は以下のリンクからご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000614800.pdf