新型コロナウイルスー労基法等の関連 季節もの・3

 新型コロナウイルス、いわゆる武漢肺炎については、1月28日に中国等の海外への渡航経験のない国内在住者の感染・発症が報道されました。こうした例が広がらないことを願いつつですが、万一のために気づきの点をあげておきます。
 政府は28日、新型コロナウイルスによる感染症を感染症法の「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定するための政令を閣議決定しました。感染症法に組み込んだ感染症に準じて、国で対策を可能とする措置です。SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)と同じ2類感染症「相当」です。
 指定感染症となれば、法律による強制力をもって、他の人に感染しないように隔離することができるようになります。具体的には、都道府県知事が、感染症の対策が整った指定医療機関への入院を勧告し、従わない場合は強制的に入院させられるということになります。
 このような感染症の場合、法律に基づいての隔離=就業不能となるので、感染した従業員の休業について、使用者の責に帰すべき理由による休業とはならず、労基法26条の休業手当の支払いの義務はないことになります。
 言わずもがなのことですが、毎年くりかえされる季節性インフルエンザ(指定感染症第5塁、休業手当の支払い義務はある)とは比較すべくもない病毒伝播の恐れや社会に与える影響が大きい感染症だということです。
※休業手当の支払いの対象となる「使用者の責に帰すべき事由 による休業」(労基法26条)
 使用者に民法上の過失責任がない場合でも、 使用者側に発生した事由があれば「使用者の責に帰すべき事由」とされます。例外は、 使用者にとっての「不可抗力」を原因とする場合です。「不可抗力」と主張できるための要件は二つ、「原因が事業の外部から発生したものであること」と「通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けることができないものであること」です。感染症法による就業制限は、「事業の外部」にある法律が休業の事由ですから、その休業は使用者にとっての「不可抗力」によるとされ、休業手当の支払いは不要になります。

「インフルエンザと休業手当-季節もの(2)」
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