インフルエンザと休業手当-季節もの・2

Q:季節性インフルエンザに罹った従業員に会社を休むように命じた場合、休業手当を支払わなくてはならないのでしょうか。

A:会社から休業を命じた場合は、労基法第26条により休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなくてはなりません。他の従業員に感染させないためにも罹患した従業員を休ませることは、使用者の安全配慮義務の点からも必要なことですが、いわゆる季節性インフルエンザは、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)で就業制限の対象とされる感染症ではないため、会社から「休め」と命じた場合には、休業手当を支払わなくてはならないのです。ノロウイルスも季節性インフルエンザと同じ扱いになります。
 感染症法による就業制限の対象とされるのは、一類感染症(エボラ出血熱、ペスト等)、二類感染症(SARS、コロナウイルス、鳥インフルエンザ等)、三類感染症(コレラ、細菌性赤痢等)、新型インフルエンザ、O-157等です。これらの患者又は無症状病原体保有者については、休業についての使用者責任はないことになります。
(感染症法における感染症の分類)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000467586.pdf
※休業手当の支払いの対象となる「使用者の責に帰すべき事由 による休業」(労基法26条)
 使用者に民法上の過失責任がない場合でも、 使用者側に発生した事由があれば「使用者の責に帰すべき事由」とされます。例外は、 使用者にとっての「不可抗力」を原因とする場合です。「不可抗力」と主張できるための要件は二つ、「原因が事業の外部から発生したものであること」と「通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けることができないものであること」です。感染症法による就業制限は、「事業の外部」にある法律が休業の事由ですから、その休業は使用者にとっての「不可抗力」によるとされ、休業手当の支払いは不要になります。
 休業についての考え方の原則、使用者にとっての「不可抗力」か問題になる他の典型的な事案である台風等による休業の場合については別稿でまとめました。あわせてご覧ください。

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