台風と休業手当-季節もの・1-2

Q 大型台風の上陸が確実になったため、店舗が入っている商業施設(ショッピングモール)が休業することになりました。店舗を開けることができないので臨時休業せざるを得ませんが、このような場合、従業員に休業手当を支払わなくてはならないのでしょうか。

A:この事例の場合、原則として 休業手当の支払わなくてはなりません。
 Qの事例とは直ちに同じではありませんが、従来から、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないけれど、台風のために取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が 不可能となったような場合については、原則として休業手当の支払わなくてはならないとされています。(厚生労働省「令和元年台風第 19 号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A」)
 一般に、休業手当の支払い義務を免じられるのは、台風により事業場が倒壊して操業・営業ができなくなったような場合、つまり事業主にとっての「不可抗力」による場合に限られます。この「不可抗力」が認められるには、①事業の外部から発生したものであること、②事業主が通常の経営者として最大限の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2要件を備えていなくてはならないとされています。(厚生労働省「平成22年度・労働基準法(上)」)。この観点からは、「資材、事業場設備等の欠乏又は欠陥による休業」は、経営障害であり、事業の内外の区分でいえば、事業の内部の問題となるので、「不可抗力」を主張することはできず、休業手当の支払い義務があるということになります。上の例の場合、商業施設と店舗の間の賃貸契約の如何によりますが、事業主が商業施設と締結した契約によって休業したのであれば、その休業は事業の内部において発生した契約に基づくものであり、不可抗力を主張しずらいと思われます。
 なお、上記の「厚生労働省Q&A」は、Qの事例に直接に答えるものはありませんが、「資材が届かない場合の休業」については、原則として休業手当の支払いを要するという考え方を示したうえで、ただしとして、「取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要がある」とも言っています。この但し書きによった場合、どのような事例ならば休業手当の支払いが免じられることになるのか、事案に即して判断されるが余地はないわけではないと思われますが、判断に迷う場合は、休業手当を支払うなど、労働者の収入確保の措置をとるほうが安全であり望ましいことはいうまでもありません。 
(ご参考)
「令和元年台風第 19 号による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A 」
 https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/roudoukijyunhou-keiyakuhou-QA_011101.pdf